親を呼び寄せるか、実家に戻るか悩んだ話

親の呼び寄せ、家族の準備
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これは「呼び寄せ近居」を考え始めたときの、わが家の気づきと決断の記録です。

親を呼び寄せるか、通うか、住み替えるか

親の体調や暮らしぶりが気になり始めたとき、私たちはまず、いくつかの選択肢を思い浮かべます。

  • 自分が実家に通う
  • 自分が実家に引っ越す(同居も含めて)
  • 親を自分の近くに呼び寄せる

最初は「とりあえず通って様子を見よう」と思うもの。でも、通う頻度が増えるにつれて、だんだんと自宅と実家の往復が負担になってきます。やがて、実家に泊まり込むようになっても、自分の生活の拠点はあくまで自宅。着替えや日用品が揃っていない不便さに、心も体も落ち着かない。

一方で、親も「迷惑をかけたくない」と遠慮してしまい、頼りたい気持ちを口に出せないことも。お互いに気を遣い合って、でも現実はどんどん厳しくなっていく。病気や介護が必要になれば、もう親を動かすことは難しくなり、結局、娘である私は実家との往復を続けるしかなくなる…。

「通う」選択肢のリアル

最初に選びやすいのが「通う」こと。親の家に定期的に顔を出して、買い物や掃除、通院の付き添いなどを手伝う。自分の生活を大きく変えずに済むし、親も住み慣れた家で過ごせるから、最初の一歩としては自然な選択。

でも、距離や時間の負担は思った以上に大きい。特に仕事や子育てと両立していると、体力的にも精神的にも限界がくる。渋滞や電車の遅延で予定が狂うこともあるし、「もっと頻繁に行けたら…」という罪悪感がつきまとうことも。

「住み替える」選択肢の現実

次に考えるのが、自分が実家に引っ越す、あるいは親と同居するという選択。一緒に住めば、急な体調の変化にもすぐ対応できるし、日々の様子も見まもれる安心感がある。

でも、これは簡単な決断じゃない。自分の生活や仕事、子どもたちの学校のこと、パートナーとの関係、すべてに影響が出る。親との生活リズムの違いや、プライバシーの問題も出てくる。お互いにとっての「快適な距離感」をどう保つかが大きな課題になる。

「呼び寄せる」という選択

親を自分の近くに呼び寄せるというのは、ある意味で「中間の選択肢」。自分の生活圏内に親がいれば、何かあったときにすぐ駆けつけられるし、通う負担も減る。親にとっても、娘の近くで安心して暮らせるというメリットがある。

でも、親にとっては「住み慣れた土地を離れる」ことになる。長年のご近所付き合いや、かかりつけの病院、行き慣れたスーパー…そうした日常を手放すことは、想像以上に大きなストレス。新しい土地での暮らしに馴染めるかどうかも、年齢を重ねるほどに難しくなる。

わが家の場合:実家に通う日々を想像してみて感じたこと

私の場合、子どもたちがちょうど自立の時期に差しかかっていて、生活の大半を実家に移しても大きな支障はありませんでした。仕事も辞めたばかりで、誰かに迷惑をかけるわけでもなかった。だからこそ、「このまま実家に住み込んで、親のそばにいようか」と真剣に考えました。

でも、心のどこかで「このままでいいのかな?」という思いが消えなかったんです。

生活のためには、次の仕事を探したい。そして、次に働くなら長く続けられる仕事にしたい。そう考えたとき、実家のある地域の現実が見えてきました。そこは、車がないと生活が成り立たない場所。今はまだ運転できるけれど、年齢を重ねたとき、果たして私はそこで暮らし続けられるのか。

実家に行くことは親の助けにはなるかもしれない。でも、私自身の将来を考えたとき、今の住まい(スーパーもドラッグストアもバス停もある便利な場所)に生活の拠点を移してもらう方が、親にとっても私にとっても、長い目で見れば安心なのではないかと思うようになりました。

「元気なうちに呼び寄せる」という選択の難しさ

周囲の話を聞いていると、「父か母のどちらかが亡くなって、ひとり暮らしになったから呼び寄せた」とか、「病気や介護が必要になってから同居した」というケースが多く、どれも「何かが起きてから」の選択でした。

でも、私が考えていたのは、まだ元気な両親を呼び寄せるということ。しかも、同居ではなく「近居」。正直、同居はお互いにとって難しいと思っていたし、私自身の生活もある。だから、できれば近くに住んでもらって、必要なときにすぐ行き来できる距離感が理想でした。

ただ、そういう事例って、あまり聞いたことがなかったんです。元気なうちに呼び寄せた話も、両親そろって移ってきた話も、私の周りにはほとんどなくて。だから、どうやって話を切り出せばいいのか、どんな準備が必要なのか、まったくわからずに戸惑いました。

でも、まずは当事者である両親の気持ちを聞いてみよう。そう思って、ある日、思い切って聞いてみたんです。

思い切って聞いてみたら…

「こっちに来る気、ある?」

その一言を口にするまでに、私は2週間くらい悩みました。どう切り出そうか、どんな反応が返ってくるか、ずっと頭の中でシミュレーションしていたんです。

8割くらいの確率で「今のところが住み慣れてるから、ここにいたい」と言われると思っていました。長年暮らしてきた土地、気心の知れたご近所さん、慣れた病院やお店。そう簡単に手放せるものじゃないと、私自身が思い込んでいたんですね。

でも、ダメ元で聞いてみたら

「え、いいの?行く♪」

「…へっ?」と、思わず間の抜けた声が出てしまいました。

拍子抜け、とはまさにこのこと。あんなに悩んでいたのがウソみたいに、あっさりと「行く」と言ってくれた両親。もちろん、そのあとにいろいろな準備や話し合いは必要だったけれど、「まず聞いてみる」ことの大切さを、あのとき強く感じました。

後から分かったことですが、実は親も近くに住みたいと思っていたらしい。
▶詳しくはこちら:呼び寄せ近居、実は親も「近くに住みたい」と思っていた話

きっかけは、1枚の中古マンション広告

「こっちに来ない?」と切り出すきっかけになったのは、なんと1枚の中古マンションの広告でした。

自宅から徒歩10分圏内に、2LDKの中古物件が出たという情報。間取りもシンプルで住みやすそうだし、価格も「これなら頑張れば手が届くかも」と思える現実的な金額でした。

それまでは、親を呼び寄せたい気持ちはあっても、「どこに住んでもらうか」が大きな壁でした。賃貸にする?でも高齢者の入居は難しいかもしれない。自宅に同居?それはお互いにストレスが大きい。近くにちょうどいい物件なんて、そうそう見つからない…。

そんなふうに、住まいの問題がネックになって、なかなか一歩を踏み出せずにいたんです。

でも、その広告を見た瞬間、「これだ!」と直感しました。もしこの物件が手に入れば、すべての問題が解決するかもしれない。親も私も、無理なく安心して暮らせる距離感が手に入る。そう思ったら、自然と「こっちに来ない?」という言葉が口をついて出ていました。

▶詳しくはこちら:高齢の親との近居、賃貸NGで選んだ中古マンション購入のリアル

「呼び寄せ近居」は、親のためでもあり、自分のためでもある

親のことが心配になったとき、私たちは「通う」「住み替える」「呼び寄せる」など、いくつかの選択肢を思い浮かべます。でも、どれも簡単には決められない。自分の生活、親の気持ち、将来のこと…考えることが多すぎて、立ち止まってしまうこともあります。

私もそうでした。実家に通いながら、「このままでいいのかな」と悩み続け、ようやく「呼び寄せる」という選択肢にたどり着きました。きっかけは、たまたま見かけた中古マンションの広告。そこから一気に道が開けたように感じました。

でも、何より大きかったのは、勇気を出して親に気持ちを聞いてみたこと。「こっちに来る気ある?」と尋ねたことで、思いがけない前向きな返事が返ってきて、拍子抜けしつつも、心がふっと軽くなったのを覚えています。

呼び寄せ近居は、親のためだけじゃなく、自分自身の暮らしや将来の安心のためでもある。そんなふうに考えられるようになったとき、ようやく「これがわが家の答えなんだ」と思えました。

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