親を呼び寄せると決めたとき、次に直面したのが「実家の売却」でした。
築30年の注文住宅。父のこだわりが詰まった木造2階建て。長年住み続けた家をどうするかは大きな課題でした。
この記事では、実家の売却が決まるまでをまとめてみました。参考になれば幸いです。
娘の知らない間に売却が決定
住まいが決まり、リフォームも終わったばかり。
私自身は、のんびり構えていました。
これから引越しの時期を相談して、実家のこともゆっくり考えていこう…
そう思っていたのです。
父の一言でのんびりムードから急ぎ引越の準備へ
そんなある日、父がぽつりと言いました。
「引き渡し日が〇日でな…」
えっ、引き渡し日?
それってもう売却契約したってこと?
あまりに突然で、私は思わず聞き返してしまいました。
「面倒なことは嫌だ。もう売ってしまおう。」
いつもは慎重派の父が、どこか急いでいる様子。
一方で母は、「無理すると明日がきついから」と体調と相談しながら慎重に進めていました。
夫婦でも、こんなにペースが違うんだなと、あらためて感じた瞬間でした。
父のこだわりが詰まった家
売却した実家は、父にとって2軒目の家でした。
住宅メーカーで建てた注文住宅で、間取りや設備には父のこだわりがたっぷり詰まっていました。
憧れの掘りごたつの行方
冬でも足元からじんわりと暖かい床暖房。
そして、家族が集まるリビングには掘りごたつ。
「こういうのが欲しかったんだよなあ」と、完成当時の父の嬉しそうな顔を今でも覚えています。
でも、実際に暮らしてみると、掘りごたつは思ったほど使われませんでした。
こたつの中にホコリが溜まりやすくて掃除が大変だったり、こたつ机が重くて扱いにくかったり。
数年後のリフォームで、あっさり撤去されてしまいました(笑)。
定期的なメンテナンスが売却を後押し
それでも、家そのものはとても丁寧に使われていて、定期的なメンテナンスも欠かしませんでした。
売却の査定に来た担当者からも「きれいに使ってますね」と褒められたそうです。
家は、ただの建物じゃない。 そこに住む人の暮らしや価値観が、静かに刻まれていく場所。
この家には、父の「こう暮らしたい」がたくさん詰まっていました。
たとえ、掘りごたつが早々に姿を消したとしても。
売却の検討
「古い家は売れない」という思い込み
当初、父は家を取り壊して更地にするつもりだったようです。
「古い家は売れないだろう」と思っていたのかもしれません。
でも、更地にするにも解体費用がかかる。
そのことが、少し気がかりでもあったようです。
不動産屋さんからのアドバイスを受けて
そんなとき、私が物件探しのついでに不動産屋さんに実家のことを相談してみたところ、
「築30年?それくらいだったら売れるかもしれませんよ。 更地にする前に一度売りに出してみては?どうしてもダメだったら、更地にすればいいんです」
というアドバイスをもらいました。
その話を父に伝えると、「じゃあ、ダメ元で売りに出してみるか」と、意外とあっさりした反応。
実家の周りには建売住宅を建造中
昨年末あたりから、実家の周辺では古い家が次々と取り壊されていて、 新しい建売住宅が一斉に建ち始めていた時期でした。
道路を挟んだ向かいの新築戸建ては、なんと4600万円。
最寄り駅からバスで20分という立地なのに、その価格で買う人がいることに驚きました。
そう考えると、築30年とはいえ、敷地が広くて価格が抑えられていれば、 中古住宅でも「ちょうどいい」と思う人がいるかもしれない。 そんな希望も、父の背中を少し押したのかもしれません。
住宅メーカーに売却を相談
売却をどこに頼むか悩んでいた父でしたが、ふと思い出したのが、家を建てた住宅メーカーの存在。
調べてみると、売却や買取も含めたアフターサービスを行っているとのことで、 「それなら安心だ」と、住宅メーカーに一任することにしました。
結果的に、評価額の調査から売却手続きまで、すべて代行してもらえたそうです。
父にとっては、面倒なことがなく、負担も少ない方法でした。
売却の決断
査定結果と担当者からの提案
住宅メーカーによる査定の結果、家の評価額は「思っていたよりも悪くない」金額でした。
そのまま売却活動に進むこともできましたが、担当者からこんな提案がありました。
「リフォーム業者に買い取ってもらう方法もありますよ。 買取価格は評価額の6〜7割ほどになりますが、手続きはすべてこちらで代行できます」
買取を決めた父の気持ち
この言葉に、父の気持ちは大きく傾いたようです。
「いつ売れるかわからない」
「契約のたびに現地に行くのは面倒」
そんな思いもあって、最終的に父は“買取”を選びました。
詳しいやり取りは聞いていませんが、 「手間がかからないなら、それでいい」と、父は納得していた様子でした。
引越しの準備が本格化する前に売却が決まり、 父はどこかすっきりとした表情で新しい暮らしへと踏み出していきました。
驚きの展開
引越をして1ヶ月。
不用品を処分して実家の引き渡しも終わりました。
思い出の実家は、私たち家族の手を離れた…はずでした。
売却から数週間で売りに出た実家
ところが、つい数日前のこと。
何気なくネットで物件情報を見ていたら、見覚えのある家が目に飛び込んできたのです。
そう、売却したばかりの実家が、もう売りに出されていたのです。
しかも、買取価格よりも約1000万円も高い価格で。
「やっぱり、家の売買ってそれくらい利益を載せるんだなあ」
と、妙に納得してしまいました(笑)。
価格は、近くの新築建売住宅の2/3ほど。
敷地面積は広いし、立地も悪くない。
リフォームもされていないようでしたが、それでも十分に魅力があるのかもしれません。
もし買取ではなかったら
売却の検討を始めたころ、担当者に参考資料として見せてもらった売却物件たちはいまだに買い手がついていないとのこと。
早い切断は間違っていなかったと思います。
もう私たちの手を離れた家だけれど、
「いつ売れるのかな?」
つい気になってしまいます(笑)
まとめ:家を手放すということ
家の売却は、「価格」だけでなく「手間をどう減らすか」が大きな決め手になります。
父は「面倒なことは嫌だ」と割り切り、納得して買取を選びました。
その潔さに驚きつつも、私もまた、親の性格や価値観に寄り添うことの大切さを実感しました。
ただ、家を手放すというのは、やっぱり特別なことです。
家はまだそこにあるけれど、もう「我が家」ではない。
ふるさとがなくなったという実感は、まだ湧いていません。
でも、きっとしばらくしてから、じわじわと寂しさがやってくるのかもしれません。
この半年間は、本当にめまぐるしい日々でした。
春に親と話し合いを始めて、住まいを決めてリフォーム、引越し、そして売却。
のんびり屋の私が、次々と決断を重ねてきた日々。
いま振り返ると「よくもまぁ、こんな決断をしたものだ」と自分をほめてあげたい。
すべては「これからの暮らし」のため。
ようやくひと区切りがついた今、少しずつ、これからの時間を楽しんでいきたいと思っています。

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